
キャンプブームが落ち着きを見せている今、キャンプの楽しみ方が「道具を揃える・並べる」という足し算のフェーズから、いかに手間を減らして過ごすかという「引き算のフェーズ」へと変わりつつあります。
SNSや雑誌で見かける「なんだかセンスが良いサイト」。その正体は、天性の才能ではなく、実はデザインや建築の基本的なルールに基づいた「視覚の整理整頓」にあります。
「形態は機能に従う(Form Follows Function)」
近代建築の巨匠ルイス・サリヴァンの言葉です。「使いやすさを突き詰めたものは、結果として無駄が削ぎ落とされ、美しくなる」という意味を持っています。
キャンプでのサイト作りも同じです。見栄えのために道具を所狭しと並べ・飾るのではなく、自分の過ごし方に合わせて厳選していく。そのプロセスこそが、結果として「スタイリッシュなサイト」を生み出します。
今回は、デザインの基本原則と建築的な考え方をキャンプに応用した、今日から使える「引き算の設営術」をご紹介します。
センスの正体は「情報のノイズ」を消すこと

まず、大前提として理解しておきたいのは、「センスの良さは情報の密度に反比例する」ということです。デザイン用語でいえば、情報の「抽象化」。
キャンプサイトでいう「情報(視覚的な)のノイズ」とは、以下のようなものです。

これらを隠したり、色を絞ったりするだけでも、視界に入る「情報量」が減り、サイトに秩序が生まれます。
視線をコントロールする「設営」
建築や写真の世界には、人を安心させる「構図」があります。


デザインの4原則を設営に持ち込む

デザインの名著『ノンデザイナーズ・デザインブック』では、良いデザインの基本として4つの原則を挙げています。これをキャンプの設営に置き換えてみます。
① グループ化(近接)

関連する道具をバラバラに置かず、「キッチン」「焚き火」「リビング」「寝室」と役割ごとにまとめて配置します。視覚的に「ここは〇〇をする場所」と境界がはっきりすることで、サイト全体がスッキリ見えます。

写真は手前のコンテナ・クーラーが見切れてしまっていますが、奥側がコット・テーブル・チェアなどのリビングスペース、手前がバーナー・コンテナ・クーラーなどの調理スペースのように頭の中で分けた上でグループ化しています。
② 見えない線を揃える(整列)


建築において最も重要なのは「ライン」です。テーブルの端、チェアの向き、コンテナの角。これらを「なんとなく」置くのではなく、メインとなる動線やテントの辺に対して、平行や垂直を意識してピシッと揃える。
たったこれだけでも、空間に一本の筋が通ったような心地よい緊張感と美しさが生まれます。
③ 繰り返しのリズム(反復)

「色は3色以内」という王道ルールもこれに当たります。同じブランド、同じ素材、同じ色のギアをあえて繰り返して使うことで、サイト全体に統一感が生まれます。
④ メリハリをつける(対比)

全部を同じ高さにせず、主役となるテーブルや焚き火台の周りを少し低く、後ろのテントを高くするなど、高低差をつけることで空間に奥行きが出ます。
建築的視点:「ゾーニング」と「動線」
さらに一歩進んで、建築のプロが考える「ゾーニング」の考え方を取り入れてみましょう。


写真左のコンテナ内は焚火関連の道具、写真右のコンテナ内には調理器具やカトラリーを収納し、見えないゾーンニングもしています。
「やらないこと」を決めると、サイトは自ずと美しくなる
「引き算」は設営のテクニックだけではありません。過ごし方そのものの「純度」を上げることこそが、スタイリッシュなサイト作りにつながることもあります。
わが家では、キャンプでやることをあえて「2・3個」に絞っています。
「これは本当に自分がやりたいことか?」「本当にこの道具は必要か?」とその時々で自分に問いかけ、あえて持っていかないという選択をすることも。1年間使わなかった道具は手放すことを検討します。
「やらないこと」が「必要なもの」を教えてくれる

「今日は手の込んだ料理はしない」と決めれば、大きなバーナーや調理器具は不要に、場合によっては買い出しやクーラーボックスさえ不要になります。「焚き火はしない」と決めれば、重い焚き火台や薪を持っていく必要もありません。
やらないことを決めることで、持っていかないものが決まる。 そうして絞り込まれた道具だけで構成されたサイトは、無駄なノイズが一切なく、自分の「やりたいこと」が際立つ、機能美にあふれた空間になります。
「引き算のキャンプ」とは、単に荷物を減らすことではなく、自分にとって本当に大切な「時間」をデザインすることです。

できることならテーブルとチェア、テントだけにしたい…
まとめ:心地よさをデザインする

スタイリッシュなキャンプサイトを目指す目的は、誰かに自慢するためではありません。自分がその場所でいかにストレスなく、豊かに過ごせるかをデザインすることにあります。
もちろん、ヴィンテージギアを愛でるような、手間そのものを楽しむスタイルもキャンプの醍醐味です。ヴィンテージスタイルは、希少なギアを一点ずつ集める審美眼や、メンテナンスの手間を楽しむ「足し算の美学(純度を高める)」に近い側面があります。
ですが、もしあなたが『もっと身軽に、もっとスマートに自然を楽しみたい』と感じているなら、まずはこの引き算のデザインを試してみてください。
次のキャンプでは、一つ道具を増やす代わりに、一つ道具を減らしてみませんか?
その「余白」にこそ、新しいキャンプの楽しみ方が隠れているはずです。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです
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