
「外飯効果」と言われるように、ご飯を外で食べるととても美味しく感じることは周知の事実だと思います。
これと同様に「外で飲むコーヒー」もまた格別で、景色を眺めながらリラックスできたり、友人とのアウトドアカフェタイムを楽しむことができます。
キャンプで自分の淹れたコーヒーを飲んでくれた方が笑顔になったり、美味しい!と言ってくれるとこちらも嬉しくなってしまいます。
コーヒー好きなキャンパーの皆さんもそういう体験はありませんか?そしてこんな質問をされることも..
これからキャンプで豆を挽いてコーヒーを飲んでみたい!どんな器具がいいのかな?
もっと美味しくコーヒーを淹れるにはどうしたらいい?
おすすめのコーヒー豆は?
そんなこれからキャンプコーヒーを始めたい方、すでに実践していてさらに美味しく淹れるにはどうしたらよいか気になった方が、こちらの記事を覗いてくれたのではないかなと思います。
口頭のみでは伝えることが難しいため、シリーズ化して記事にまとめることにしました。
sasa家のコーヒーに関する理論・思考法について解説していきます。最後まで読んでいただけると嬉しいです。
↓前回の記事
第3回は、科学的に正しい豆の保存方法についてです。
この記事を読むと、
・新鮮さを維持する保存方法
が、わかるようになります。
豆で買うべきか、粉で買うべきか
保存方法次第で品質が大幅に悪くなり得るのがコーヒーです。
単刀直入にいうと、絶対にコーヒーは「豆」で買うべき。
一般的にコーヒーは挽いた瞬間から劣化が始まります。
豆の状態と比べて、挽いた瞬間にコーヒー豆の表面積は劇的に増加し、空気と触れる面積が増え、劣化も急速に進行するからです。
コーヒーを購入する際は、豆、粉にかかわらず、同じ値段を払って購入します。
しかし、豆の状態と粉の状態では劣化スピードがまるで別物。
品質とコスパで考えれば断然、豆がおすすめです。
コーヒーはたくさん飲むけどグラインダーを持っていないという方は、ぜひグラインダーを買いましょう!
どうしても粉で買いたいという方は、1週間で使い切れる量のコーヒーを購入すると良いと思います。
科学的に正しい豆の保存方法
コーヒーの研究において、保存する上でコーヒーの品質に影響を与える要素は、
①酸素
②温度
③湿度
④光
と、されています。品質劣化には複数の要因がありますが、「酸化」が最も大きな要因と考えられています。
コーヒー豆は焙煎すると二酸化炭素が発生し、コーヒー豆の細孔に閉じ込められています。
その細孔から少しずつ二酸化炭素が放出され、最終的には酸化のフェーズへ移り変わります。
保存環境にもよりますが、大体1ヶ月程度で二酸化炭素濃度が薄れていくと考えられています。
粉の場合、表面積が何万倍にも増加し、酸素に触れる面積が増え、細孔から二酸化炭素が放出されやすくなるため、酸化のスピードは格段に早くなります。
また、二酸化炭素の発生量は焙煎度合いによっても変わります。
深煎りの方が二酸化炭素の発生量は浅煎りと比べて多いとされています(ドリップの際に浅煎りよりも深煎りの方がよく膨らむのはこのため)。
したがって、深煎りの方が酸化に至るスピードが速いと推測されます。
また高温多湿な保存環境だと、二酸化炭素の発生量が増加し、酸化に至るスピードが速くなります。
「コーヒー豆の新鮮さをより長く保ちたい」と思うなら、「酸化」をできるだけ防ぐことから始めましょう。
豆はパッケージのまま保存するのがベスト
①コーヒー豆は購入時のパッケージのまま保存する
②パッケージが遮光タイプだとなお良い
③高温多湿に気をつけ、できるだけ低い温度で保管する
以上の3点がポイント!
適切にパッケージされたコーヒー豆は二酸化炭素によっていわばコーティングされており、多少の開け閉めがあったとしても酸化が一気に進むことはありません。
しかし、ガラスの保存容器やタッパーに移し替える場合、その中は酸素が充満した環境です。
こうした保存環境に移すことは、劇的なスピードで酸化を進めることにつながります。
保存パッケージは内側にアルミ箔の貼ってある光を通しにくいタイプが理想的だと考えられています。
また温度はできるだけ低い温度で保存するとコーヒー豆の新鮮さを保つことができるとわかっています。
常温保存だと1週間〜4週間程度しか新鮮さを保てないコーヒーでも、冷凍保存すると約3ヶ月ほど保存期間を延ばすことが可能です。
遮光タイプのパッケージであれば、シンプルに買ってきた状態のまま低温で保存するのが最も効果的!
「冷凍保存」がベスト?
冷凍保存する際には気密性の高い保存容器か、真空パックで保存する方法が良いとされています。
冷凍庫の匂い移りや水分の付着を防ぐことがメインですが、パッケージの空気をしっかり抜いた状態で保存するだけでも味わいに劇的な差を感じます。
コーヒーの研究によると、コーヒー豆の温度が低ければ低いほど、粒度分布(豆を挽いた際の大小の粒子のバラつき)が狭くなることがわかっているそうです。
同じ豆、同じ挽き目を使用しているにもかかわらず、豆の温度が違うだけで、異なる粒度分布を生み出すことがわかっています。
研究では粒度分布を狭めたのは液体窒素(−197度)>ドライアイス(−79度)>冷凍(−19度)>常温(20度)の順でした。
なお、冷凍した豆を挽く際に解凍する必要はありません。
豆は凍ったまますぐに挽きましょう。
粉の温度が低いので、お湯の温度をあげようかなと考える必要はありません。
終わりに

sasa家はコーヒーは必ず豆で購入するようにしています。
プレゼントでコーヒーを粉の状態で400gも頂いたことがあり、飲み切るのに時間がかかりました。
記事に書いた通り、酸化によると思われる劣化のスピードがとても速く、最後の方は淹れてもエグみが強く、とても飲める味わいでなくなってしまったことを覚えています。
そのため、シンプルに買って来たパッケージのまま冷凍庫で保管するようにしています。
冷凍のまま挽いた豆は粒度分布が狭くなっているためか、後味の雑味が取れてまろやかさを感じるほどです。
ただ、それでもお気に入りのキャニスターを使いたい時もあります。
キャンプに行く際に冷凍したものを持ち出すと結露してしまうため、直近で使う分の豆は例外的に入れ替えたりもしています。
自宅でコーヒーを飲むシチュエーションが多い場合は冷凍保存が良いだろう、というのがsasa家の見解です。
今回の記事が、正しいコーヒー豆の保存方法を知るために少しでも参考になれば嬉しいです。
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次回はいよいよハンドドリップでの抽出の思考法について記事を書いていきますので、興味があれば是非読んでください!
※今後、抽出に関する記事を追加予定ですのでしばらくお待ちください!