
「外飯効果」と言われるように、ご飯を外で食べるととても美味しく感じることは周知の事実だと思います。
これと同様に「外で飲むコーヒー」もまた格別で、景色を眺めながらリラックスできたり、友人とのアウトドアカフェタイムを楽しむことができます。
キャンプで自分の淹れたコーヒーを飲んでくれた方が笑顔になったり、美味しい!と言ってくれるとこちらも嬉しくなってしまいます。
コーヒー好きなキャンパーの皆さんもそういう体験はありませんか?そしてこんな質問をされることも..
これからキャンプで豆を挽いてコーヒーを飲んでみたい!どんな器具がいいのかな?
もっと美味しくコーヒーを淹れるにはどうしたらいい?
おすすめのコーヒー豆は?
そんなこれからキャンプコーヒーを始めたい方、すでに実践していてさらに美味しく淹れるにはどうしたらよいか気になった方が、こちらの記事を覗いてくれたのではないかなと思います。
口頭のみでは伝えることが難しいため、シリーズ化して記事にまとめることにしました。
sasa家のコーヒーに関する理論・思考法について解説していきます。最後まで読んでいただけると嬉しいです。
↓前回の記事
第3回は、コーヒー豆のポテンシャルを引き出す「焙煎」について解説していきます。
この記事を読むと、
・焙煎と味の相互作用
が、わかるようになります。
焙煎度合いの指標はかなり曖昧
焙煎とは、コーヒー豆に火を通すことで、生豆に含まれる化学成分を変化させ、コーヒーらしい香りや、甘み、酸味、苦味に代表される味わいを形作る重要な工程。
焙煎は、焙煎時間や焙煎温度によって、「浅煎り」「中煎り」「深煎り」と呼ばれる焙煎度合いに大まかに分類されます。
一般的に、浅煎りは酸味が強く、深煎りは苦味が強くなります。コーヒー専門店では、焙煎度合いを次のような8段階で表記しているのを目にすることがあると思います。
浅煎り⇨❶ライト/❷シナモン
中煎り⇨❸ミディアム/❹ハイ
中煎り⇨❺シティ/❻フルシティ/❼フレンチ/❽イタリアン

実は、この8段階の焙煎度合いには、一部の企業を除いて明確な基準は設定されておらず、店によって解釈は異なるそうです。
焙煎度合いは主観的な尺度で決められており、何をもって深煎りとしているか、浅煎りとしているか、実は国際的な基準はありません。
したがって、焙煎度合いを絶対的な指標として捉えることはおすすめしません!
初見のお店でよくあるミスコミュニケーションの例として、焙煎度合いで豆を選ぶと、「これは好みじゃないな」と言うことがあります。
なぜなら、前述の通り焙煎度合いはお店によって異なり、焙煎度合い次第で苦味や酸味のボリュームが大きく変わり得るからです。
しかし、焙煎度合いは自分好みを理解する上で重要な指標であることに変わりはありません。
気になるコーヒー専門店を見つけたら、そのお店の1番深い豆、もしくは一番浅い豆を好みに応じて選んで試してみると、そのお店の焙煎度合いの振り幅をよく理解できると思います。
苦すぎる、酸っぱすぎると思えば、1段深い/浅い焙煎度合いの豆を試してみると良いでしょう。
素材の味わいを活かす焙煎を選ぶ
焙煎度合い以上に重要なことは、そもそも焙煎方法が素材に適した焙煎か否か、かもしれません。
高地で育った硬い生豆を焙煎する場合は、コク・まろやか系の味わいを感じやすい深煎りも良いかもしれません。
華やかで繊細な香りを持つ品種であれば、キレ・スッキリ系の味わいを感じやすい浅煎りが良いかもしれません。
比較的標高が低く、バランスの良い味わいが特徴のコーヒーは、中煎りが良いかもしれません。
焙煎度合いは自分好みを理解する上で重要な指標である、と言うことはすでに述べています。
まずは好み(苦味が好きか酸味が好きか)を明確にした上で、自身の味わいの好みを理解することが重要です。
次のようにざっくりと考えてみましょう。
キレ・スッキリ系⇨「浅煎り」の豆を選ぶ
バランス系⇨「中煎り」の豆を選ぶ
コク・まろやか系⇨「深煎り」の豆を選ぶ
大切なことは、焙煎度合いに惑わされることなく、自分好みの味わいを追求し、結果として選んだコーヒーの味わいが浅煎りか、中煎りか、深煎りか、という自然な流れを追求できるようになることだと思います。
違和感の多くは「焙煎エラー」が原因
これまでの焙煎は、感覚に基づく職人技的な要素が強く、データを収集し、分析するという考え方は根付いていなかったようです。
しかし近年では焙煎用のソフトウェアが登場し、より論理的かつ再現性の高い焙煎を行えるようになりつつあります。
しかし、このようなテクノロジーを導入しているからといって、完璧な焙煎が可能かというと、それもあり得ません。
同じようにコーヒー豆を焼いたとしても、毎度同じ味わいになることはないでしょう。
焙煎には未だに解明されていない味わいに影響を与える不確定要素がたくさん存在するようです。
したがって、味わいに関する違和感は、焙煎が原因の場合が多々あります。
例えば、いつもと同じコーヒーを買っていたとします。
馴染みの味わいがいつもと違うな、という経験をしたことはないでしょうか?
それは多くの場合、焙煎に起因します。
❶豆が焦げている
❷豆の内部まで火が通っていない
❸豆の表面が焦げており、中に火が通っていない
大まかに分類して、この3種類が代表的な焙煎エラーです。
❶許容範囲を超えた苦味が支配的な味になります。
❷刺激的な収斂味、エグ味が感じられます。
❸焦げによる刺激的な苦味と、生焼け状態によく見られる収斂味が顕在化します。
テクノロジーの発達や焙煎技術の科学的な理解も少しずつ普及していますので、品質の安定性が劇的に向上する日が遅かれ早かれやってくるかもしれません。
終わりに
コーヒー豆を選ぶ際のおすすめの手順をまとまると、
❶生産国や品種、生産処理などによる「味わいの特徴」を知る
❷試しながら、「自分好みの味」をざっくり把握する
❸焙煎度合いを「酸味」と「苦味」から選択する
これが自分好みの味を知り、「美味しいコーヒー」を淹れるための第一歩です。
コーヒーの味は多様性に溢れているため、自分のその時の気分やシチュエーションに合わせてコーヒー豆を選んでみてはいかがでしょうか?
参考までに、sasa家のレシピを紹介します。
朝に飲みたいコーヒー
朝から苦味の強いコーヒーを飲むと、そのボディ感で胃のあたりがムカムカする時もあります。
朝はスッキリとした味わいを楽しみたいので、中米やアフリカ、エチオピアのコーヒー豆やゲイシャ種など、フルーツやエレガントな花の香りを連想させる浅煎りのコーヒー豆を選ぶことが多いです。

昼やおやつタイムに飲みたいコーヒー
日中は酸味と苦味のバランスが取れたブレンドやブラジルなどの中煎りのコーヒー豆を選ぶことが多いです。
また10時や15時のおやつタイムにはグアテマラやコロンビア、マンデリンなど苦味があり、ボディ感が重めな深煎りのコーヒー豆を選びます。
苦味がおやつの甘味をさらに引き立ててくれるので、最高のペアリングです。
夜に飲みたいコーヒー
寒い日の夜などコーヒーを飲みたくなる時があります。
sasa家はカフェインを取りすぎると夜の睡眠の質が低下してしまうので、カフェインの少ないデカフェのコーヒー豆を選ぶことが多いです。
夜に飲みたいコーヒーの味わいはその時によって変わるますが、経験上は中深煎り〜深煎りで売られている豆が多い気がしています。
自分にとって好きな焙煎度あいを探すために、今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
主にInstagramでも情報を発信していますので、フォロー頂けたら励みになります。よろしくお願いいたします。
次回はコーヒー豆のおすすめの保存方法の記事を書いていきますので、興味があれば是非読んでください!
↓次の記事