お金で買える最大に価値のあるものは「自由」 【読書・要約】Phychology of Money サイコロジー・オブ・マネー 

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の元コラムニスト。米国ビジネス編集者・ライター協会 Best in Business賞を二度受賞。ニューヨーク・タイムズ紙Sidney賞受賞されたモーガン・ハウセル氏が書かれたサイコロジー・オブ・マネー 。

一言で言うと「お金持ちになる心構え」を教えてくれる本

この記事は、

・お金との上手な付き合い方を知りたい人
・お金持ちになりたい人
・投資に興味のある人、投資を始めたい人
・不安のない人生を送りたい人

におすすめの1冊です。


はじめに


お金持ちになれるかどうかは才能よりどんな態度や心構えで向き合い続けたかに大きく左右される。

冒頭では対照的な二人の事例が紹介されている。
一人目はビルの清掃員、ロナルド・リード。家が貧しく、家族で高校を卒業したのは彼が初めてだった。高校卒業後、ガソリンスタンドに25年勤め、その後はビルの清掃員として17年間パートタイムで働いた。いかにもお金を持っていなさそうな人物だ。しかし彼が92歳で亡くなった時、総資産は約10億円であった。ただの清掃員が?と思うだろう。彼は宝くじが当たったわけでも、資産を相続したわけでもない。彼は節約してお金を貯め、37歳からコツコツと株を投資していたのだ。

二人目は大手金融機関の役員、リチャード・フスコーン。リードとは正反対の人間でハーバード大学を卒業し、MBA(米国の経営学修士号)を取得。出世し、40歳の若さで引退した。ガレージが7棟、プールが2面、お風呂が11室ついている豪邸に住んでいた。まさに絵に描いたような成功者だ。しかし2008年に世界金融危機が発生し、多額の負債を抱えて豪邸は差し押さえられた。終いには破産に追い込まれてしまった。

この二人の例からもわかるように、お金とどう上手く付き合うかで知識や経験、才能の差を埋める可能性がある。


お金で尊敬を買わないこと


人はお金で見栄を張ろうとすると、高級車や宝石、ブランド品、高級時計、タワマン、豪邸を買いがちである。欲に取り憑かれてお金を使うと当然ながら豊かになるのは難しくなる。給料の大半を身の丈に合わない高級車やタワマンなどをローン払いに回して生活がカツカツの人は意外と多い。見栄を一度張るとずっと張り続けないといけないため維持費がたくさんかかるようになる。

そもそも彼らが欲しいのはモノそのものではなく、「他人からの尊敬、賞賛」だ。実生活でそれが得られないからお金に物を言わせて高級品を購入するのだが、本人が思っているほど他人からの尊敬や賞賛は得られない。

ランボルギーニやベンツGクラス、タワマンの最上階に住んでいる方がカッコよく思えるかもしれない。でも、実際に高級車を見て「かっこいい車だな」と思うことがあっても「乗っている人かっこいいな」となったことがあるだろうか?

お金ではなく謙虚さや優しさ、共感力や行動、結果で「尊敬・賞賛」を得た方が良い。社会に出ると「どっちの方が良いモノを持っているか競争」に巻き込まれやすい。だからこそ優先順位を決め、自分にとって重要じゃないと思う競争からは身を引いて、本当に勝つべきポイントで勝つことが重要になる。お金で尊敬を買おうとしないことは、豊かな人生を送るために重要な心構えの一つになる。


お金で買える最大に価値のあるものは「自由」


幸福度を最も上げるのは他人よりも良い車・時計を持つ、周りより良いに家・マンションに住むことより
「好きな時に、好きな人と、好きなだけ、好きなことができること」

思うように好きなだけ遊んでいた子供の頃、あの頃が一番楽しかっただろう?

心理学者であるアンガス・キャンベル先生は『収入や地域、教育とは関係なく、幸福な人に一番共通しているのは「人生を自分でコントロールしている」というはっきりとした感覚だった』と言っている。ある研究によればうつ病の人ほど「人生は自分の思い通りにできない」と強く意識してしまっていることがわかっている。

お金があれば、自由に生きられる。1日、朝起きてから寝るまで、仕事をしたければする。キャンプに行きたいのなら行く。時間を気にせず周囲の観光地を巡る。堪能したいからもう1泊延長する。気になっていた地場のものや人気店のご飯を食べにいく。自由、お金で買える最も価値の高い商品だ。

何を持って幸せとするかは人それぞれだが、思い通りに時間や人生を使いたいというのは共通していることのはず。
しかし多くの人は自由よりも見栄やその場限りの娯楽にお金を使いがちである。


目的なき貯金の大切さ


目的がある方がよいが、目的がなくてもとりあえず貯金しておくと安心と柔軟性、そして選択肢が手に入る。

実際に300万円くらいあれば上司がパワハラやセクハラしてきたらすぐに転職を検討できる。貯金があれば仕事を辞めても1、2年はなんとかなる。給料が安くても時間に融通の効く仕事を選べるし、急病になっても医療費に不安を抱えなくてもよい(保険も要らなくなる)。NISAで投資を始めることもできるし、自分の会社が倒産した場合のリスク回避にもなる。人生はどんな場面でどんなことが起こるかわからない。

貯金があれば、待つべき時はじっくり待てるし、チャンスが来たら飛びつくこともできるし、考える時間も作れる。くれぐれも見栄のために使わないことが大事になる。


投資して複利を味方につける


複利とは利子にまた利子が付くことを指す。

例えば100万円を年利5%で運用すると1年後は105万になる。増えた5まんえんぶんを使わずに再投資すると、2年目は105万円の5%が増えるため、110万2500円になる。これを続けると15年後には100万円が200万円になり、30年後には432万円になる。お金は時間をかけて運用することで雪だるまのようにどんどんお金が膨らんでいく。この複利でお金を増やすのが、お金持ちになる時の鉄則になる。事実、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットの純資産の95%以上は60歳以降に得られたものである。複利によってお金は後半になればなるほど加速度的に増えていく。

逆に最悪なものがある。それは逆複利状態だ。例えばリボ払いなどの借金が100万円あると、それが毎年5%ずつ増えて1年目は105万円の借金になり、それを放置しておくと2年目には110万2500円の借金になる。先ほどと逆のことが起こってしまう。この状態ではお金を増やすことは難しいだろう。

日本では現在、普通預金にお金を預けていても金利はほぼつかない。複利を使うには投資するのがよいだろう。


投資は市場から退場しない者が勝つ


お金持ちになるためには複利の力を最大限に活用することが大事になる。そのためには時間をかけて投資し続ける必要がある。

実際に冒頭に登場したビルの清掃員は37歳から92歳まで65年間投資を行っていた。ウォーレン・バフェットは11歳から93歳まで82年間投資を行なっている。その間に何度も何度も不況や大暴落が起こっている。それでも途中で投資を辞めたりせずに長い間一貫して投資をし続けられたからこそ、複利の効果を十分に発揮し、お金が爆発的に増えたのである。

暴落が起きるとソワソワするし、経済アナリストたちの悲観的な想像がニュースに流れる。それでも投資を続けられるかが大切になる。


幅広い数の株に投資すること


ビジネス、投資、金融にも全く同じことが言えるが、半分以上失敗してもその中の1割に正解があれば十分なリターンを得られるように出来ている。

20世紀を代表する美術商であるハインツ・ベルクグリューンはピカソをはじめとする巨匠たちの作品を数多く収集したことで知られている人物だ。この人物はかなりの審美眼があるように思うだろう?投資会社ホライゾン・リサーチはどうすればこのような成功ができるか調べた。すると成功の秘訣は「芸術作品を見極める技能」でも「運」でもなく、「膨大な量の美術品を投資対象として購入すること」だと同社は分析している。

1万点の美術品を買って、その99%は価値がないかもしれないが、残りの1%にピカソやゴッホのような芸術家の作品があれば全ての失敗を帳消しにできるほど儲かるということだ。これは他の物事にも応用されている。

例えばインデックス投資は、次の世界を代表する会社がどれかわからないから幅広く投資するというスタイルだし、ビジネスでも10回挑戦し続けて1回当たればお金持ちになれる。ディズニーも1930年代に400本以上のショートアニメーションを制作したがずっと赤字続きだった。しかし1937年に公開された「白雪姫と七人の小人たち」が大ヒットしたことで借金を返済し、一気に大企業へと成長した。

このようにビジネス、投資、金融の世界では全体の1%が全てを決めてしまうことが多いため、分散投資をしておくことがとても大事である。

著者は長年の試行錯誤の末に、「低コストのインデックスファンドに数十年かけて一貫して投資し、下手にいじることなく複利で運用すれば、私たち家族の経済的目標は全て達成できる可能性が高い」と考えるようになった。インデックスファンドに投資を続ければ、個別株によって生じるリスクを負うことなく、目標を達成できる。私たちが個別株投資する意味はないのである。


リスクを取らずにリターンを得ようとしない


投資は基本的に減るかもしれないという不安や暴落の恐怖に怯えた対価として、お金が増えていると考えるべきである。多くの人は安心安全に何の恐怖も代償も払わずに順風満帆にお金を増やしたいと思っている。投資で成功するには代償が必要であるという認識を持たなければならない。

最も有名な指数であるS&P500の相場も2020年の感染症の流行で株価が暴落した。そんな時でも株を売らずに、持ち続け、むしろいつも通り買うことのできるという代償を払った人が結果的に大きなリターンを得ることができた。

ナポレオンは「天才的な軍人とは、周りの誰もが正気を失っている時に普通のことができる人である」という言葉を残している。


夜、安心して眠れることを優先してお金の管理をする


ここまでは「預金が大事」という話と「投資をして複利でお金を増やす」という2つの話をしてきた。投資と預金のどちらにするか迷うかもしれない。それは自分で決める必要がある。その指標となるのが「夜、安心して眠れること」である。安心して眠れるくらいの投資と貯金のバランスを保つことがベストということになる。(sasa家は最低限の生活防衛資金を貯金で残す:生活費の半年〜1年分)


未来に対して長期的に楽観的であれ


今や途中でダメになることもあるし、キツイこともあるけど、長い目でみると最終的には必ず良くなる。

ニューヨーク大学の精神医学教授であるスー・ヴァルマは20万人以上を対象とした研究により、楽観主義者ほど健康で、裕福で、長生きし、人生、仕事、人間関係においてより成功していることを突き止めた。「もうダメだ。一生このままだ。何も変えられない」と思っていたら何かに挑戦する気にならない。株でいうと「今は悪くても長期的には良くなるだろう」と思えないと持ち続けられないし、暴落の時に勇気を持って買い続けることはできない。

だが残念ながら人は概して悲観論が好きだ。事実として株価が5・6年後に2倍になるという話よりも経済アナリストの「新NISAは危ない」「株が暴落する」といった悲観論に私たちは注目してしまう。これは私たちがプラスよりもマイナスに注目してしまう習性があるからになる。悲観論は楽観論よりも賢く、、最もらしく感じる様にできている。悲観論をどうしても見てしまうとは思われるが「何か言ってんなぁ」くらいの距離感で見ておくとよい。

事実、世界は少しずつ良くなってきている。治せなかった病気も治せるようになってきたし、技術の進歩で瑣末なことに時間を使わなくても良くなっている。


まとめ


  • お金と上手に付き合う
  • 尊敬をお金で買わないこと、高級なものを所有しいても尊敬されるわけではない
  • お金で買える最大に価値があるものは「自由」
  • 好きな時に、好きなことができることは最高の幸せ
  • そのために目的がなくとも貯金しておく
  • 貯金はあれば安心と柔軟性と選択肢が手に入る

お金持ちになるために大事なこと
①投資して福利を味方につける
②何があっても市場から退場しないこと
③幅広い株の数を保有すること
 そのためには複数銘柄に投資できるインデックスファンド投資がおすすめ

投資の心構え
①リスクを払わずにリターンを得ようとしない
 暴落の恐怖に怯えた対価としてお金が増える
②「夜、安心して眠れること」を優先して、お金の管理をする
③未来に対して楽観的であれ

sasa家もたくさんの本を読む中で一番大切なものは「好きな時に、好きな人と、好きなだけ、好きなことができること」だと痛感しています。趣味に没頭できる時間、友人たちと過ごす時間、やりたいことを好きな人タイミングでできることは本当に大切なことです。必要な事と不必要な事、優先度が高いものと低いものを見極めてなるべく貯金や投資に回す様にしています。

そのためにも Less Is Moreの考え方は大切だと思っています。

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