最強のテント・ヒルバーグ ケロン4GTをレビュー 使用感や特徴、カラーラインナップを解説

最強のテントとも言われるヒルバーグテント。数年前からInstgramなどでキャンパーさん達がこぞって使用しているのを、度々目にするようになりました。実際の使用感や特徴はどうなっているのかと気になっている方や購入を検討している方も多いと思います。

sasa家も一度は最高峰と呼ばれるブランドを使ってみたいと思い、ヒルバーグ・ケロン4GTを購入し、2年くらい使用しました。

この記事では、ヒルバーグ・ケロン4GTの仕様や性能、使用感や居住性について解説していきます。実際に使用し感じた点など記事にしましたので、最後まで読んで頂けると嬉しいです。


概要


ヒルバーグはスウェーデンのテントメーカーで、日本ではA&Fが正規代理店になっています。ケロン4GTは、ヒルバーグを代表するテントです。1981年、ケロンテントが開発された際、インナーとアウターを接合することで同時設営を実現しただけではなく、シリコンコーティングによる非常に頑丈なアウターテント生地が導入されました。

初期ケロンから今日のケロンに至るまで、ヒルバーグ社の全てのテントは変わらずに求められる厳しい製品水準に基いて設計されています。設計面ではケロンの外観は開発当初からほとんど変わっていないようです。インナーテントの入口を垂直に、またウォールをほぼ垂直に設計することで、可能な限りの使用可能空間を確保しています。これは当初から変わらない点だそうです。


ケロン4GT カラーラインナップ


現行サンド・グリーン・レッド

出典 A&F

ケロン4GTはサンド、グリーン、レッドの3色のラインナップとなっています。この他にヒルバーグに採用されているポールを製作しているHelinoxとの10周年を記念した、限定コラボカラーであるブラック。2015年に日本で開催された世界ボーイスカウト世界選手権の際に、スウェーデンスカウトチームのために限定で制作されたブルー。軍が使用するために作られたミリタリー(オリーブ)があります。噂だけで存在するのかもわからないですが、ホワイトもあるとかないとか…

ホワイトを除くと全6色となっていますが、厳密に言うともう少しあります。サンド、グリーン、レッドの3色は過去のアップデートでカラーに変更があリました。そのため現行カラー(写真・上)に加え、旧レッド、旧グリーン、旧サンドのカラーを加えることもできます。旧カラーはヴィンテージものを好むキャンパーの間で人気です。

ブラック

ブラックカラーのケロン4GT。ガイロープはブラック、インナーテントはホワイトです。ブラックキャンパーとしてはインナーもブラックであって欲しかった…。写真では小さくで見えづらいですが、HILLEBERGタグとHelinoxタグがベンチレーションの左右に付いています。

ブルー

ブルーカラーのケロン4GT。ガイロープとインナーテントはイエローだっと記憶しています。ボーイスカウトに因んで、ケロン4GTスカウトと呼ばれます。

ミリタリー

写真は少々見づらいですが、ミルスペック(ミリタリースペック)のケロン4GT。ガイロープはブラック、インナーテントはイエローだったと記憶しています。軍仕様のため通常のケロンと違い、幕体の内側に遮光性のあるコーティングが施されています。そのためテント内部は昼でも真っ暗です。軍もの、無骨好きにはたまらない一張りです。

ただ内側の遮光コーティングが加水分解で劣化しやすいため、中古・フリマで購入する際は状態の確認が必要です。ベンチレーション横のタグは目立たない様にブラックにゴールドカラーのシックなものだったと記憶しています。

旧レッド

旧レッドケロン4GT

旧レッドカラーのケロン4GT。現行カラーのレッドより薄く、やや黄色味がかっているように見えます。ヒルバーグのタグはベンチレーションのサイドではなく、幕体の正面左下に付いています。現行ケロン4GTのサイドドアは逆U字型で、ドアを開放する場合は幕内にある収納ポケットに入れることが出来ます。対して、旧仕様は長方形型で上に巻き上げて固定します。

旧カラーのグリーン、サンドのケロン4GTは写真がありません。撮影する機会がありましたら随時こちらにアップしていきます。


仕様・性能


■サイズ :
室内最大高/110cm フロア広さ/4.6㎡ 前室広さ/3.3㎡+1.6㎡ 収納サイズ/φ23×53cm
■重量 :
最小重量(総重量)/4.6kg(5.5kg)
■材質:
アウターテント 18kg/40lbの引裂強度を持つKerlon1800
インナーテント 40デニール リップストップナイロン 耐久撥水加工(DWR)
ポール DAC社の Featherlite NSL 10mmポール
ガイライン3mmのVectran及びポリエステル
■内容
テント本体、インナーテント、アルミポール( φ10mm)368cm×4本、ペグ( Yペグ)×22本、スタッフバッグ、ポールバッグ、ペグバッグ、スペアポールセクション、リペアスリーブ
■収容人数 :
4人

出典 HILLEBERG THE TENTMAKER

ケロン4GTは最高の耐久性と優れた耐風性、広い室内とそのシンプルさゆえに、極地遠征に標準的に使われるテントです。あらゆるアウトドア愛好家にも好まれ、山岳、森林、捜索救助隊、軍の特殊部隊、北極や南極の局地探検に使用されるほどです。通常のレジャー・キャンプで使うとしても間違いのないテントだと思います。

ヒルバーグのテントで使用されているシリコンコーティングを施したkerlon(ケルロン、通称:シルナイロン)のアウターテント生地は軽く、超が付くほど頑丈です。一般的なポリウレタンコーティングのテント生地が2~3kg/4.4~6.6lb(lbは引裂強度の単位)に対し、ケロン4GTのテント生地は18kg/40lbです。強風でテントが裂けたと言う話は何度か聞いたことはありますが、ヒルバーグテントの生地が裂けたという話は聞いたことありません。

ポリウレタンコーティングの耐用年数が一般的に3・4年と言われているのに対し、シリコンコーティングされているヒルバーグテント生地は加水分解に強く、耐用年数は10年程度と言われています。


ポールスリーブ

ポール・スリーブは幅も十分に広く、ポールを2本使うことができます。2本使うことで強風などの過酷なコンディションにも対応できます。個々のポール・スリーブがポールをテント生地から遠ざけるので、安全性が高いです。


シーム(縫い目)

強さと耐久性のために、折り伏せ縫いをしているそうです。すべてのステッチが4枚の生地を通り抜けるので、堅牢さと耐水性が高まります。このため、ヒルバーグのアウターテントには通常のテントにあるシームテープが存在しません(インナーテントにはあります)。シームテープは経年で加水分解してしまうため、劣化すると自身で綺麗に取り除き、張り替える必要がありますが、ヒルバーグのテントはこの面倒な作業の必要ありません。

更に、ヒルバーグ社のミシンは針の周囲に冷却ジェットを当てることで、摩擦熱で縫い目の穴が大きくなってしまうことを防止しているそうです。細部まで徹底した品質管理には脱帽です。


使用感


設営・撤収


収納時の重量は5kg程度と、同じ4名用・前室ありのテント比べてかなり軽いです。一度、アウターテントにインナーテントや別売りのフットプリントを付けてしまえば、付け外しする必要がないため(初回は自身で装着する必要あり)、慣れると5分程度で設営できます。収納袋にかなり余裕があるため、撤収時はグチャッとまとめて袋に収納することもできます。

居住性


最大高が110cmであるため、幕内は屈んだ状態で移動することになります。腰が良くない人にはちょっと辛いテントかもしれません。

インナーテント内で快適に寝ることを想定すると、4人用となっていますが、大人なら3人程度が限界だと思います。大人2人+子供2人では快適に使用できるのでファミリー用にもよいです。アウターテントのみ(インナーなし)であれば、テントの短軸方向に5人並んで寝ることも可能です。短軸方向にコットを置いてもしっかり収まります。

インナーを装着した状態での前室は広いため、マットやコットがあれば大人1人は広々と寝ることができます。ローチェアなどを使用すれば前室内に道具などを並べてリビングを作ることもできます。前室はデュオやファミリーでリビングとして使うほどの居住性はありません。ケロン内からは外の景色が見えづらいため、上の写真の様にタープなどと組みわせるとよいと思います。アウターのみであれば、幕内でソロ〜デュオのリビング使いも可能です。

後室は少し狭めなので出入り口に使ったり、出番の少ない道具の収納袋や荷物置きスペースに使用できます。

機密性


4シーズン使用できますが、ヒルバーグは機密性が高いテントです。両サイドのベンチレーションと入り口をメッシュにし、インナーテントも前後メッシュにすることが可能ですが、夏場の幕内はとても暑いです。夏場だけは氷枕や扇風機で換気するなどの工夫が必要です。逆に温度は保ちやすいため、肌寒い季節〜厳冬期は幕内で暖かく過ごすことができます。

機密性のため、他のテントと比べてアウターテントの内側が結露しやすいです。乾きやすいシーズンは乾燥撤収できますが、気温の低い晩秋や冬場はまず乾燥が難しいです。自宅に持ち帰ってから乾燥させるのをおすすめします。自宅での乾燥が難しい方は少しでも乾燥を早めるため結露を拭き取るタオルなどを用意するといいと思います。


購入方法


A&Fが正規代理店となっていますので、店頭・オンラインに在庫があればそちらで購入できます。修理の際なども安心してお願いすることができます。ヒルバーグのオンラインサイトからの予約購入も可能ですが、納品までかなりの期間を要するのと、英語対応が必須です。その他はガレージブランドなどを扱う一部のセレクトショップでも店頭・オンラインで購入可能です。セレクトショップも仕入れは基本的にA&Fを介しているそうです。

最近ではメルカリなどのフリマにも出品されているので、そちらで購入することもできます。しかし、購入時のレシートやA&Fタグがなければ、修理の際に持ち込んでも取り扱ってくれないかもしれません。個人輸入やその他のショップでも購入は可能ですが、何かあった際は自身で対応しなくてはいけません。


終わりに


実際に使ってみると、設営の手軽さに驚くともに、そのシルエットの美しさに目を奪われます。そして優れた耐久性と耐風性。「他のテントがダメになったとしても、ケロンを持ってきていれば大丈夫!ケロンは必ず車に積んでるよ。」というキャンパーもいるほどです。

認知度に対して供給量は少ない状態ため、値段は徐々に上がっています。最近は原材料の高騰や円安などの影響もあり、更に値段が上がってしまいました。しかし、シリコンコーティングを施したケルロン生地のおかげで頑丈で加水分解もしづらく、長く使用できるため長期的に考えるとコスパがいいテントと言えます。ヒルバーグテントは中古品でも値下がりしづらいです。アウトドア用品の中では珍しいですが、資産性があると思っています。

ケロンだけに限った話ではないですが、本当に良いものを使っていると同じものを使用している人たちと繋がりを持つ機会に恵まれることもあります。ヒルバーグは家族や普段の生活、職場以外ではなかなか得られない、同じ趣味を持つ人との繋がりを持たせてくれる素敵なプロダクトだと思うのはsasaだけでしょうか?

今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。主にInstagramでも情報を発信していますので、フォロー頂けたら励みになります。よろしくお願いいたします。

ケロン4GT まとめ

悪い点
・手に入りづらく、お値段が高い
・機密性の高さ故に夏の幕内は暑く、結露しやすい
・最大高110cmのため、腰の良くない人には辛い
・幕内から外の景色が見えづらい

良い点
・シルナイロン生地は軽く、超が付くほど頑丈
・シルナイロンは加水分解に強く、長持ちするため意外とコスパがいい
・シームテープがなく、劣化や付け替え作業がない
・アウターからインナー、グランドシートを外す必要がなく、設営・撤収が簡単で早い
・ポールを追加することができ、強度をあげることができる
・アウトドア用品では珍しく、資産性がある
・「繋がり」を持たせてくれる素敵なプロダクト


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